2014年 2月の症例 − SSA/P with cytological dysplasia

横行結腸病変の一例

症例:70歳代,女
既往歴:高血圧、高脂血症、糖尿病 近医にて内服加療中.
主訴 : 大腸精査, 加療目的
現病歴:受診2ヶ月前より排便時不快感を自覚していた。下部内視鏡が施行され、脾弯曲部にLST病変を認めた。Pit VL、生検ではAdenomaであった。当院を紹介受診、下部内視鏡では脾弯曲部に直径20mm以上のLST病変を認めた。Colon-ESD 目的に入院、同月ESD施行された。

演者診断:
Sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) with cytological dysplasia.
演者コメント:SSA/P with cytological dysplasiaの1例について形態像とともに分子生物学的検討を交えて提示した.SSA/Pの診断基準 (大腸癌研究会) は,1. Crypt fissionを含む陰窩の分岐像,2. 陰窩の拡張,3. 腺底部の異常拡張像のうち2項目を10%以上の領域で満たすことである.また,WHO2010では,SSA/Pに細胞異型がみられた類型をSSA/P with cytological dysplasiaとして独立させ,SSA/Pにおける癌化の警告としての意義をもたせている.形態学的には従来の腺腫に類似した像で,クロマチンが増加した楕円形核と好塩基性の細胞質を有した異型細胞が増殖する.SSA/P with cytological dysplasiaは,上記の診断基準と分子生物学的特徴を理解し,通常型腺腫とは区別して診断することが重要である.