盛岡タイムスに健康教室(19日)の予告?!が掲載 (2016/03/12)

『病理診断』のお題で集まってくれるでしょうか??汗

元の原稿を掲載しておきます.
イラストは,鎌田先生の娘さんが描いてくださいました.
ネコが肩もんだり,プレパラート準備してくれたり・・
(まさに,ネコの手も借りたい・・か?笑)



 岩手医科大学附属病院 病理診断科の石田和之といいます.来る3月19日(土)におおどおり健康教室で,『がんの治療には「病理診断」が必要です』との題でお話しさせていただきます.なんとも刺激的な・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,あまり馴染みのない病理(びょうり)の話です.少しでも皆さんにお集まりいただきたいと思ってこのような題にしてみました.
さて,「病理診断(びょうりしんだん)」についてご存じでしょうか.簡単に言ってしまうと,顕微鏡を使って病気の正体を突き止めることです.肺にできた影(病気)を例にあげてみましょう.この肺の病気はいいものなのか,悪いものなのかを決めるために,診察や血液検査,画像診断など様々な方法によって診断が絞り込まれます.そして,最後の手段として気管支カメラで肺の中をのぞき,病気の一部の組織を採取します.この採取した組織をプレパラート標本にして,直接顕微鏡で観察し診断をつけるのが病理診断です.「がん」と病理診断がつけば,その結果をもとに治療方針が決められます.病理診断は最終診断となるだけではなく,患者さんの治療方針にも大きな役割を果たしているのです.
それでは病理診断を行う病理医はどこにいるのでしょうか.病理医は,「担当する病棟を持たない」「外来を担当しない」ことから,もしかしたら皆さんの医師のイメージとはかけ離れているかもしれません.しかし,病理診断はほぼ全ての診療科から依頼されます.病理医は主治医とは違って患者さんの前には現れませんが,病理診断を通じてたくさんの患者さんの診断,治療を支えています.
同じ病名であっても病気は様々な経過をたどります.そして,医療の進歩により治療も個別化されつつあります.「がん」と診断されて平気でいられる人はいないでしょう.しかし,患者さんにとってご自身の病気の正体を知ることはとても大切なことではないでしょうか.病理診断によってどのようなことがわかり,これからの治療はどのように進められるのかを自分なりに理解し納得する.その上で治療に専念することはとても意義のあることではないかと思います.病理診断の結果は主治医から聞くことができます.しかし,最近ではその結果を直接診断した病理医に聞きたいという患者さんもいらっしゃいます.そのような方のために我々は「病理外来」を行っています.ご希望される方は主治医に相談していただければと思います.
実は,今年の1月から病理医を主人公にしたテレビドラマが放映されています.主人公のようにイケメンでも変人でもないですし,「僕の言葉は絶対だ!」とも言いませんが,今回の健康教室では,病理診断についてわかりやすくお話させていただけたらと思っています.どうぞよろしくお願いいたします.