患者診療における病理診断の重要性をどのように理解したか。
・術中の手術方針の決定や、患者がガンに侵されているのか良性腫瘍で経過観察となるのかという選択が病理医の判断によって左右されることに責任の重さを感じる。なぜ患者さんは苦しんでいるのか、どうして亡くなってしまったのかを必死で探すのは患者に会わずとも寄り添っていることに変わりないということも理解できた。
・臨床経過から疑わしい疾患の根拠となるだけでなく、否定するための根拠にもなり、診療の道しるべとなる。また、マクロからミクロまで観察すると、その患者の状態や問題点が浮かびあがる。以上から、患者さんの状態を知り、診断から治療、効果判定、診療上の問題点の把握に関与することで、その患者さんのみならず、今後の診療をより良いものとすることができるという点で重要な役割を担っていると考えた。
・病理診断では病期、術式を決めたり、疾病そのものの確定診断をしたりとなくてはならないものであることと、医師全体のうち0.7%しかいないということ。また、数が少ないうえに、地域での偏在もあるということ。
・病理診断科での実習を通して、病理診断が無ければいかに正確な診断をつけることが難しいのか、そして正確に診断することがいかに重要かを再確認できた。初日の細胞診断実習では、子宮頚部の組織の診断をした。その中で、高度異形成という診断名にとどめるのか、上皮内癌と診断するのかによって、保険が適応されるのかどうか、すぐに手術をしなくてはいけないのかどうか、等の患者にとって、大きな問題が生じてくることを知った。やはりスライドの奥には苦しんでいる患者がいることを常に頭に入れ、自分のつける診断に責任を持つことが非常に重要だと理解できた。
・組織診は確定診断になり、その後の治療方針の決定につながる。そのため病理診断がなければ誤診をして誤った治療を進めてしまうことも考えられる。ガラスの向こうには患者さんがいると考えて、これからも標本を見ていきたいと思った。
・マクロや検査所見からは推測しかできない病態も病理診断を行うことで確定診断することができるということを実習を通して実感することができた。
・実習では主に顕微鏡とスライドガラスを用いての病理学的診断を行っていたが、背景には何らかの疾患を持った患者がいるということを意識しなければならないと理解した。
|